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遠野幻想探訪記④ | 碧空の向こう

201308

20

遠野幻想探訪記④

河童には冷えた胡瓜をたてまつれ

ratiltです。遠野探訪2日目、続いては遠野地方の民俗を伝承する野外博物館、伝承園に向かいます。・・・が、思ったより時間が余ったことに調子に乗ったratiltさん、折角なのでこのまま進んで早池峰山を目指そうと思い立ち――

遠野物語は、遠野に御座す三女神の伝説から始まります。昔々、女神と三人の娘が遠野の地に降り立った夜、女神は娘たちに対して「今夜一番良い夢を見た者に一番良い山を授けましょう」と語りました。夜も深く皆が寝静まった頃、天より霊華が降ってきて姉の胸に止まったのを見ていた妹は、こっそりこれを取って自分の胸に載せておきました。朝を迎え、妹に霊華が宿っているのを見た女神は、妹に最も大きな山である早池峰(はやちね)山を与え、二人の姉にはそれぞれ六角牛(ろっこうし)山、石神山を与えたのでした。

逸話にもあるように、遠野三山の内、最も高い標高を誇るのが早池峰山で、北上山地の最高峰であり、国定公園にも指定されています。

・・・というわけで、車で30分ほど山道を進むも、中間チェックポイントである、三女神が別れたといわれる神遣(かみわかれ)神社すら見えてこない状況。改めて地図を確認しようかと思ったその時、目の前に案内看板が!

「早池峰山国定公園まで15km」

無理だこれ(^q^)

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泣く泣く来た道を戻り、伝承園に着いたのが11時頃。こちらも先ほど訪れた遠野ふるさと村同様、遠野の民俗を伝承するための野外博物館です。

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園内にある佐々木喜善記念館。佐々木喜善は『日本のグリム』とも称される民話研究家で、遠野物語は柳田國男が佐々木喜善より伝え聞いた遠野にまつわる伝承・昔話をまとめたものだと言われています。

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伝承園で外せないのが、千体のオシラサマを祀る御蚕神堂(おしらどう)。オシラサマは主に家の神として祀られ、農業の神、蚕の神、馬の神など様々な性質を持ち合わせています。この神様に纏わる物語が、遠野物語にも収録されています。

 昔あったずもな(そうだ)。
 ある百姓屋に、とど(父)とかが(母)と、かわいい娘と若駒が一頭住んでいたど。年が経つにつれ、娘は輝くばかりに美しくなり、若駒も立派な馬っこになっていたど。
 娘は何かするとすぐ馬屋さ行って、馬とばかり楽しそうに話っこしたり笑ったりしているんだど。そこで、とどがたずねると、
「おら、ほだって(だって)馬と夫婦になるもの」
と、娘が答えたど。とどはたまんげで(驚いて)
「そんな馬鹿な。人間と馬が夫婦になるなんて」
と絶句した後、
「お前もお前だが、馬も馬だ」と、言うなり馬を引っ張り出すと、桑の木に吊るして皮をはぎ始めたど。娘が「そんなごど、やめてけろ」って叫んでも、とどはきかなかったど。
 もう少しではぎあげる時、不思議にも馬の皮がすっぽりと娘を包んで天に昇ってしまったど。とどとかがは、嘆き悲しんだが後の祭りだったど。
 ある晩、娘が夢枕に立って教えたど。
「おれの親不孝許してけろ。その代わり○月○日庭の臼の中見てみてけろ。その虫を桑の葉で養ってまゆっこ作れば高く売れるから」
 なるほどその通りで、オシラサマは、養蚕の神様になったんだど。
 また、オシラサマは目の神様でもあり、女の病気の神様、お知らせ、予言の神様でもあるんだどさ。
 どんどはれ。

このことから、オシラサマは必ず娘と馬の木彫りを一対として祀られます。先ほどのふるさと村に祀られていたのもやはり二体一対でしたね。

ちなみに、遠野の昔話は「昔あったもずな」に始まり「どんどはれ」で終わるのが決まりだそうで、こういった昔話の形式を体系化させたのが、先ほど登場した佐々木喜善だったそうです。「どんどはれ」は「どっとはらい」と同義で、そろそろ木屑を掃ってお終いにしよう、というところから来ているんだそうな。

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伝承園からしばらく歩くと河童淵に到着。一般的に河童は緑色のイメージですが、遠野に伝わる河童は赤いんだそうです。

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河童の一本釣り。

ある夏の暑い日、この淵の傍に住む若者が、馬の足を冷やしてやろうとこの淵へ馬を連れてきて、しかしそのまま遊びに行ってしまったそうです。すると河童が出てきて、その馬を淵に引きずり込もうとしたものの、馬は驚いて河童を引きずったまま馬屋に飛び込んでしまいました。今度は河童が驚いて、飼葉桶をひっくり返してその中に隠れたものの、当然家の者に見つかってしまいました。集まってきた村人は、口々に「殺せ!」と言いましたが、河童が手を合わせて懇願するので、家の主人は「これからは悪さするなよ」と許すことにしました。河童も言うことを聞き、近くの寺が火事にあった際には皿から水を出して火を消し止めるなど、この地の守り神となったそうです。

遠野物語の中にも河童は頻繁に登場しますが、上の逸話のような微笑ましい話は少数で、○○村の女性が河童の子を孕んだだなんだと、結構エグい話が多かったりします。(というか遠野物語全般、オチのある話が少ないというか、大抵人死にが出るので油断ならない)

ここでちょうど時刻は正午。道の駅でジンギスカン丼を食べた後、次はいよいよ東方にも登場するあの場所に向かいます。

《つづく》

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